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賃貸の空室が埋まらないのはなぜ?原状回復で見直せる範囲と順番

募集は出しているのに問い合わせが入らない、内見までは来るのに決まらない——賃貸の空室が長引くと、次にどこへ手を入れればよいのかが見えなくなります。ここで大事なのは、工事で動かせるのは部屋の状態だけで、賃料や募集条件そのものは動かせないということです。この記事では、富山県全域で原状回復・内装工事・クリーニングを行っている新和工業はうすりぺいるが、空室が埋まらないときに原状回復のどこを見直すと効くのかを、判断の順番に沿って整理します。

最初にやるのは「工事で動く部分」と「動かない部分」の切り分け

空室が続く理由は、大きく2つに分かれます。ひとつは条件——賃料、初期費用、入居条件、募集の出し方や写真です。もうひとつが部屋の状態——見た目、におい、傷み具合です。工事で変えられるのは後者だけで、前者は管理会社・仲介会社と決める話になります。

逆に言えば、条件が相場から外れている物件にいくら工事をしても動きは鈍く、部屋の状態が原因なのに賃料だけを下げると、下げた家賃がそのまま固定されてしまいます。どちらが効いているのかを先に決めるのが、費用をムダにしないための近道になります。

▶ 空室は特別な状態ではない
総務省統計局が令和5年住宅・土地統計調査の調査票情報をもとに行った参考分析では、富山県の共同住宅(アパート・マンションなど)で「賃貸用等空き家」——募集中の空き家に、転勤や取り壊し予定などで長く空いている住宅を加えたもの——と推計されたものが29,200戸あり、そのうち21,600戸(74.0%)が民営、つまり民間のオーナーが所有する賃貸住宅とされています。一定の仮定を置いた推計値ではありますが、空室の大半が民間のオーナーの側にあるという構図と、富山県内だけでこれだけの戸数が空いているという規模感はつかめます。

「原状回復の範囲」と「決まりやすくするための手入れ」は別の判断

退去後の工事を考えるとき、この2つが混ざったまま見積もりを取ると、話が進まなくなります。

原状回復は、前の入居者の故意・過失や、通常の使用を超える使い方で生じた傷みを戻す工事です(普通に暮らしていて古くなった分=経年変化・通常損耗は含みません)。どこまでを入居者に負担してもらえるかは、契約内容と国のガイドラインの考え方で決まります。この線引きについては賃貸の退去費用はどこまで負担する?原状回復の線引きを解説で詳しく整理していますので、そちらをご覧ください。

一方、この記事で扱うのはその線引きが終わったあとの判断です。「入居者の負担にはならないけれど、このままでは決まりにくい」という部分に、貸す側として手を入れるかどうか。ここは費用対効果の話であって、負担割合の話ではありません。

▶ よくある取り違え
「これは入居者の負担にならない=だから直さない」と決めてしまうことです。負担を誰が持つかという話と、直すかどうかという話は別々に判断するものです。負担にならない部分こそ、空室期間に直結していることがあります。

内見でマイナスに効くのは、募集写真に写らない部分

① におい

閉め切ったままの空室の空気、排水口の封水が蒸発して上がってくる下水のにおい、前の入居者の生活臭。いずれも写真には一切写らないのに、玄関を開けた瞬間に伝わります

換気と清掃で戻る範囲と、クロスや下地まで染みていて張り替えが必要な範囲があります。長く喫煙されていた部屋は後者になりやすく、消臭だけでは戻りません。空室期間が長い物件では、内見の前に窓を開けて水を流しておくだけでも印象が変わります。

② 水まわりの「くすみ」

鏡のうろこ状の曇り、蛇口やシンクの水垢、浴室のコーキングの黒ずみ。ここで注意したいのは、「古い」と「汚れている」は別物だということです。設備の年式は工事をしないと変わりませんが、汚れやくすみはハウスクリーニングで戻ることが少なくありません。

コーキングの打ち替えも、範囲のわりに見た目の印象が変わりやすい部分です。設備そのものを入れ替えるより先に検討する価値があります。

③ 手が触れる場所の細かい傷

内見に来た方が見るのは、部屋の中央より自分の手が触れる場所です。ドア枠、巾木、引き手、スイッチプレートの周り、洗面台の扉。こうした小さな傷やめくれは、建材リペアで色を合わせて目立たなくできる範囲があります。部材ごと交換しなくても済むかどうかは、傷の深さと下地の状態しだいです。

全面をやり替えずに、見え方だけを変えられる範囲

空室が続くと「いっそ全部やり替えるか」となりがちですが、費用が跳ね上がるわりに、決まる決まらないの差につながらないこともあります。まずは範囲を絞った手から検討する順番が現実的です。

気になっている状態 まず検討する手 全面のやり替えを考える目安
クロスの黒ずみ・すり切れ クリーニング/一面だけの張り替え 全室に広がっている、下地に段差やカビがある
床の傷・へこみ 建材リペアでの部分補修 表面材が破れて下地が出ている、踏むと沈む
水まわりのくすみ・水垢 専門的なクリーニング/コーキング打ち替え 器具が割れている、漏れがある
建具の建て付けが悪い 調整・部分補修 枠ごとゆがんでいる
におい 換気・清掃・消臭 クロスや下地まで染みている

クロスを一面だけ張り替える場合は、既存の面との色差やロット違いが出ます。周囲となじませたいのか、あえて色を変えてアクセントにするのかで、選ぶ品番が変わります。内装工事として一室まとめて考えるか、部分で収めるかは、現況を見てからの判断になります。

▶ 順番を間違えない
張り替えるかどうかは、汚れが落ちた状態を見てから決めるのが基本です。洗えば戻る面まで張り替えを決めてしまうと、その分がそのまま費用に乗ります。ただし、クリーニングだけを単独で先に発注すると、内装工事のあとに仕上げの清掃がもう一度必要になり、訪問が分かれるぶん手間は増えます。落ちるか落ちないかの見分けがつかない範囲にしぼって先に洗い、判断がついた分はまとめて発注する——という組み方が現実的です。

かけた費用が「次の退去までに戻るか」で考える

手を入れるかどうか迷ったときの物差しとして、次の考え方があります。

工事費を「見込める家賃の差 × 12か月」で割ると、おおよその回収年数が出ます

たとえば8万円の工事で家賃を月3,000円上げられる見込みなら、8万円を3万6,000円で割って約2.2年です。あくまで単純化した計算例ですが、感覚ではなく年数で並べると、複数の候補を比べやすくなります。

▶ 「空室期間を短くする」は同じ式に入れない
工事で空室期間を1か月縮めることをねらう場合、この式にそのまま入れることはできません。家賃アップは毎月続く差ですが、空室期間の短縮で得られるのは家賃1か月分、しかも入れ替わり1回につき1回きりだからです。こちらは「工事費は家賃の何か月分か」「何回の入れ替わりで戻る計算になるか」で見てください。

では何年なら妥当なのか。ひとつの目安になるのが平均居住期間です。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が公表した第28回「日管協短観」(2023年4月〜2024年3月)では、首都圏・関西圏を除くエリアの平均居住期間は単身で3年、ファミリーで5年2か月とされています。

入れ替わりのたびに効くタイプ(空室期間の短縮)の工事は、この年数がそのまま「次のチャンスまでの間隔」になります。回収に4年も5年もかかる見込みなら、次の退去までに戻りきらない可能性があるということです。一方、家賃そのものを上げられる工事は、次の入居者にも効き続けますので、もう少し長い回収年数でも判断はできます。

ただし、家賃を上げられるかどうかは周辺の相場と競合物件しだいで、工事だけで決まる話ではありません。この部分は管理会社・仲介会社の見立てと合わせてご判断ください。

富山で工程を組むときに見落としやすいこと

▶ 屋外側の工事は雪が来る前に
外壁、屋根、ベランダの防水、外部のコーキングといった屋外の工事は、積雪と気温に左右されます。冬に入ってからでは着工の見通しが立ちにくいため、外部を含む工事を予定しているなら、雪の前に段取りを済ませておくほうが読みやすくなります。

▶ 冬の内見は「寒さ」と「結露」で印象が決まる
暖房の入っていない空室は、実際の性能以上に冷たく感じられます。窓に結露が出ていればなおさらです。内見の前に一度暖房を入れておく、窓まわりを拭いておく——工事とは呼べない段取りですが、冬場はここが効きます。なお、結露の跡には拭けば消えるものと、下地まで入っていて拭いても戻らないものがあり、後者は張り替えの判断になります。

▶ 判断されるのは部屋に入る前から
玄関前や駐車場までの動線、共用部の状態も見られています。冬場は特に、除雪がどうなるかを気にされる方が多い部分です。室内だけ整えても、そこで止まってしまうことがあります。

発注の順番をまとめると

ここまでを、実際に動く順番に並べ直すと次のようになります。

▶ ① 退去立ち会いで、入居者負担になる部分の線引きを確定させる
▶ ② 洗って落ちる汚れかどうかを現地で見分ける(つかない範囲だけ先にクリーニングを入れる)
▶ ③ 残った部分を「回収年数」で判断する
▶ ④ 屋外を含む工事は季節を見て前倒しする

この順番で進めると、「洗えば済んだ面まで張り替えた」「冬に入って外部工事が止まり、募集開始が遅れた」といったムダを避けやすくなります。逆に、範囲が決まっている工事はまとめて発注したほうが訪問も段取りも1回で済みます原状回復のページでは、退去後の作業範囲についてもご案内しています。

富山県の空室・原状回復のご相談は

新和工業はうすりぺいるは富山市を拠点に、高岡市・射水市・氷見市・砺波市・小矢部市・南砺市・魚津市・滑川市・黒部市・上市町・立山町・舟橋村・入善町・朝日町など富山県全域に対応しています。クリーニング、クロスや床の張り替え、建材リペア、コーキング、塗装、屋根まで自社で行うため、工種ごとに業者を分ける必要がありません。外注をはさまないぶん費用を抑えやすく、連絡へのレスポンスも速いのが強みです。

「クリーニングで足りるのか、張り替えが要るのか」といった分かれ目も、現地を見たうえで、できること・できないことをはっきりお伝えします。オーナー様・管理会社様からの複数戸のご相談にも対応しています。

出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」参考分析「共同住宅の空き家についての分析」より「賃貸用等空き家の所有の種類別空き家数及び割合-全国、都道府県(2023年)」/公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 日管協総合研究所「第28回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』(2023年4月〜2024年3月)」。いずれも2026年8月31日確認。統計局の数値は調査票情報をもとに一定の仮定を置いて推計された参考値です。本記事では、これらの内容を要約して紹介しています。

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